アイヌ語と東北地方2008/11/06 21:14

縄文時代晩期からアイヌ文化の成立までの約1500年間、北海道では、東北地方からサハリン、千島列島までを交えて、多様な文化の変化があったようです。

本州における弥生時代以降の北海道では、続縄文文化、擦文文化、アイヌ文化と変化していくのですが、その文化の範囲というのは北海道内に収まらず、東北地方北部が含まれる時期もあるようです。

そこで気になるのが、東北地方北部に残る”アイヌ語地名”です。

地名として残るからには、アイヌ語(またはアイヌ語祖語)を話す人達が、東北北部に暮らしていたというのは間違いがないのでしょうが、それがいつ頃からいつ頃までなのかが、気になるところです。

東北北部が、北海道と同様の文化圏であったころを挙げてみます。

・続縄文後期(本州は古墳時代)
・擦文文化成立期(七世紀~九世紀)

ここで一つ注意したいのは、弥生時代の中期から後期に平行する続縄文前期は、東北北部は弥生文化圏にあったようです。

以上のことをそのまま素直に受け止めると、続縄文後期からアイヌ語の地名が使われ始め、九世紀までにはアイヌ語の地名が定着していたと考えることができます。
もちろん、縄文時代(弥生時代)にアイヌ語地名が使われていないなかったという根拠にはなりません。

今のところは、私としてはアイヌ語と日本語の祖語は同一であろうというという見解なのですが、これらはその手がかりになるのでしょうか。

もし、続縄文時代には既に日本語とはだいぶ異なったアイヌ語の祖語が使われていたとすると、その人達が続縄文時代後期に東北北部へ南下し、地名を変えていったと考えることができ、日本語とアイヌ語の関係についての手がかりは無さそうです。

すると、片山 龍峯氏の考える2000~3000年前に分岐したという案か、私があまりたいした根拠もなく言っている4000年~5000年前という案のどちらか、かもしれません。

または、擦文時代にサハリンから南下してきたオホーツク文化の人達の言語が、アイヌ語に繋がるのかもしれません。

ただし、どちらにおいても、アイヌ語の起源について肯定的な意見はあまり無いようです。