『日本人と日本語のルーツを掘り起こす 考古学からDNAまで』②2009/08/20 17:46

 『日本人と日本語のルーツを掘り起こす 考古学からDNAまで』(宮崎 嘉夫:文芸社)を、ようやく読み終えました。
 購入から一ヶ月以上を要し、ゆっくり過ぎて最初の方に書いてあったことが記憶から薄れています。
 ゆっくりなのは、いつものことですが、何かの合間に読もうとするよりも、積極的に読む時間を作らないと、一向に進みませんね。

 さて、内容の方ですが、これはなかなか幅広く、また奥が深いと言えるでしょう。
 タイトルに「ルーツを掘り起こす」とあるように、日本人はどこから来たのか、日本語の成立にはどのような言語が関与したのか、といったことを時代を追って解説します。

 これまで、「日本人の起源」を巡っては、考古学や人類学、分子生物学などの分野において、さまざまな形で議論され、また、「日本語の起源」を巡っては、比較言語学を中心として、議論をされてきたと思います。
 しかし、そもそも「日本人」と「日本語」を切り離し、それぞれ異なる分野の研究によって議論することが、間違っていたのかも知れません。
 もちろん、完全に切り離して考えていた人ばかりではないと思いますが、どこまで総合的に考えていたのかは疑問が残ります。

 しかし、この本の著者である宮崎氏は、「日本人」と「日本語」を切り離すことなく、考古学から言語学まで、それぞれの成果を総合的に判断しているように思えます。
 これは、宮崎氏が特定の分野の専門家ではなく、全ての分野において同等に、偏見無く見ることができるからではないでしょうか。

 僭越ながら、私の目指していたことの先を越された、という印象です。
 もちろん、私自身の知識も見識も、足元にも及ばないとは思いますが、考え方というのか、考える方向性は、似ているところがあるように思います。
 そういう意味で、この本は、私の教科書的な存在となり得るかもしれません。
 ただ、私自身、この本の全てを容認している訳ではなく、多少の疑問や、探求が浅いのではと思われるところもありました。
 また、疑問ではなくとも、この本で参考としている文献を読んで、更に理解を深めたいという思いもあります。

 ちなみに、宮崎氏は、水稲栽培とそれをもたらした渡来人は、揚子江下流域から来た説を支持しています。
 揚子江下流域からの伝来の可能性は理解しており、また一部の渡来人はこのルートでやってきたという認識はありましたが、朝鮮半島南部からのルートが主だったものだというように理解していた為、少し衝撃的でした。
 この辺りの事については、更なる検証が必要と痛感し、自分自身どちらのルートを支持するのかは、いろいろと調べなおした上で、検討したいところです。

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