ミトコンドリアDNAと染色体(遺伝子)2009/10/16 14:59

 人類の起源を探るのに、分子人類学が大きな役割を果たしているということは、これまでに紹介した文献などから、よく分かると思います。
 ここで登場するのは、ミトコンドリアDNAや、Y染色体で、母系または父系に遺伝し、人類がどこから来て、どのように世界各地へ拡散していったのかを紐解くのに、大いに役に立ちます。
 あらたまった事を書くようですが、日本人の起源についても、分子人類学は多くのことを推測することができ、日本人には多くのハプログループが存在することから、時代も場所も異なる多くの所から人々が集まったと考えられています。(『新・日本人の起源』(崎谷 満:勉誠出版)より。以下、文献①と略)

 さて、ミトコンドリアDNAにしろ、Y染色体にしろ、多くのハプログループが混在している日本人には、多様な遺伝子が混在している、と考えることができます。
 しかし、そんなに単純に考えられるのでしょうか?

 文献①では、「人種」というものの概念が無意味であるとのことから、Y染色体ハプログループの分布と、「人種」との関係を挙げています。
 そこでは、例えばマクロハプログループDEには、コーカソイドにモンゴロイド、ネグロイドまで存在します。マクロハプログループCについても、地域は異なるものの、いわゆる人種(肌の色)という形では、さまざまな人種が存在します。
 文献①の著者いわく、人種は異なっていてもマクロハプログループは同じであり、また、人種は同じでも、マクロハプログループが異なることがあるので、肌の色による人種の分類が、科学的な根拠が無い、ということです。

 「遺伝」や「遺伝子」という事に詳しい人なら、混同することもないのでしょうが、私自身、ちょっとした勘違いをしていたかもしれません。

 まず、ハプログループが同じであれば、似ている近い人達なのではないか、ということ。
 例えば、日本人に存在するミトコンドリアDNAのハプログループM7aは、シベリア南部~極東あたりが起源と考えられています。(文献①)
 すると、素人考えでは、シベリア南部辺りの人達と、どこか少しでも似たところを持つ日本人が、ほんの少しはどこかに居るのだろう、と。
 これは、全くの的外れではないのかもしれませんが、本質的なことはまた別のところにあるような気がします。

 うまく説明できないので、試しに次のようなケースを考えてみます。(「人種」を挙げていますが、差別的な意味合いはありません。また、mDNAはミトコンドリアDNAの事です。)

① ♂黒人 - ♀白人(mDNA-M7a)
② ①夫婦の娘:♀肌の色は不明(mDNA-M7a) - ♂黒人(夫)
③ ②夫婦の娘:♀肌の色は黒に近い?(mDNA-M7a) - ♂黒人(夫)
④ ③夫婦の娘:♀肌の色は黒に近い?(mDNA-M7a)

 ちょっと極端な例だとは思いますが、元々白人女性(mDNA-M7a)の子、孫、ひ孫と女系であれば、ミトコンドリアDNAは受け継がれますが、相手が黒人であれば、染色体の遺伝子の影響で、段々と肌の黒い子が誕生するハズです。

 分かっている人にとっては当たり前の事ですが、ミトコンドリアDNAや、Y染色体のハプログループと、肌の色を始めとする形質的な遺伝は関係がありません。それは、上記の人種とハプログループの関係からも明らかです。

 さて、何が言いたいのかよく分からなくなってきました。
 mDNAや、Y染色体のハプログループを遡って、どうなるのだろう?
 もちろん、それがアフリカを起源とする人類発祥の地を突き止めた異議は大きいでしょう。しかし、その途中はどうなのか?

 変な例えですが、私は一応父親で、娘がいます。
 私のmDNAは、娘へは受け継がれていません。もちろん、偶然同じ可能性はあります。
 そして、娘なので、Y染色体も娘へは受け継がれていません。
 恐らく、どこかそんなに遠くないところにも、私と同じmDNAや、Y染色体を持つ子供たちが居るでしょう。(判別はできませんが・・・。)
 だからと言って、自分の娘より、その子供たちをかわいがる訳ではありません。
 mDNAも、Y染色体も受け継がれていませんが、その他の染色体(遺伝子)の50%は、受け継いでいるはずです。

 なんだか、話しが脱線しているようなので、今日はここまでにしておきます。(なんとなく、まとまるような気はしませんが・・・。)