『稲の日本史』①(佐藤洋一郎:角川選書)2010/07/20 19:24

 最近は、稲の話ばかりになってきました。
 気になりだすと、納得がいくまでおさまりがつきません。
 なんて言うと大げさですが、書店で何となく物色していたら、ある本の一部を、佐藤氏が執筆しているのを見つけ、それならばと、探し当てたのが『稲の日本史』です。

 まだ、読み始めなので、内容については何とも言えませんが、ここ最近読んだ本との関連だけ、ちょっと整理してみます。

・『日本人ルーツの謎を解く』(長浜 浩明:展転社)
 熱帯ジャポニカを、縄文時代から焼畑による栽培を行っていた品種として、稲の縄文農耕を唱える佐藤氏を支持しています。
 長浜氏は、水田稲作の農耕手法については、大陸または朝鮮半島からの由来を否定し、縄文人が長い時間をかけて、少しずつ開発した、と考えています。

・『稲作の起源』(池橋 宏:講談社選書メチエ)
 池橋氏は、DNA標識による比較が不十分であるとして、次のように古代の日本イネが、熱帯ジャポニカであったかどうかに疑問を呈しており、佐藤氏には否定的です。
 「現在の熱帯ジャポニカが焼畑農耕に使われているからといって、それと一部について共通の特徴をもつ日本の古代イネが、古代に焼畑で栽培されたという保証はどこにもない。」
 
 また、池橋氏は『稲作渡来民』(講談社選書メチエ)を執筆している様に、水田稲作は渡来民によって日本列島へ持ち込まれたと考えており、縄文人による水田稲作の受容には否定的です。

【個人的にはどちらも疑問】
 どちらにも、理解できる部分と、そうでない部分があり、「両氏の考えとは別の答え」があるような気がしてなりません。
 池橋氏の稲に関わる考えには理解ができるのですが、渡来民に対する考えには、反対です。
 しかし、長浜氏の様に、縄文人が水田稲作を開発したかのような考えには納得がいきません。

 佐藤氏の考えを否定して出した池橋氏の結論と、佐藤氏の考えを肯定して出した長浜氏の結論の、どちらも違うような気がするのは、佐藤氏の考えに対して、両氏とは異なる解釈を迫られているような気がしてなりません。
 そういった姿勢で、『稲の日本史』を読んでみたいと思っています。