『日本語音声学入門【改訂版】』-斉藤純男:三省堂2011/08/31 20:53

 少し前になりますが、読んでみました。
 これ一冊で”音声学”の何が分かるのか、と思われるでしょうが、確かによく分かりませんね。
 もっとも、そんなに簡単なことでないということくらいは分かっていたので、その通りになったという感じです。

 さて、内容の方は、本書の冒頭にもあるように基礎的なところに重点を置いています。その為、後半の6章あたりから、とても早足になり、あっという間に一つの章が終わります。
 そんなに長々と書くような内容ではないのかもしれませんが、章を設けている割にあっけないので、分かったような分からないような、ぼんやりした印象です。

 全般的に感じたのは、やはり目で見るだけでは分からない、ということです。
 何度か、CDか何かがあって、音声を耳で聞くことができたら、もう少し分かりやすいのに、と思いました。

 批判的なことばかり言っているように聞こえるかもしれませんが、決してそういうつもりではありません。私のような人間には、内容を吸収しきれない、理解しきれない、ということです。

 ただ、音声学の概念は、何となく分かったような気がします。

 また、日本語に限らず、言語の歴史や他言語との共通性などを考察するには、音声学は避けては通れないように思えました。
 これまで、私が見てきたものには、やはり文字の上だけで言語の比較を行うようなものが少なからずあり、そういったものが、どれ程の意味があるのだろうかと、疑問になります。

 本書の内容の半分も理解できてはいませんが、そういったことが解っただけでも十分に読んだ価値があったといえるでしょう。
 また、本書は今後、音声学的な内容でわからない事があった際に、きっと役立ってくれるに違いありません。